第3

本申入れに至る経緯

損害賠償請求事件は、令和6年4月9日付で申入人に送信された派遣関連業務命令書を中心的な争点の一つとしている。

当該業務命令書は、代表取締役の電子メールアカウントからPDFファイルとして送信され、代表取締役名義の署名のみが付されていた。

申入人は、当該署名が代表取締役本人によって真正に作成されたものではないとの疑義を抱き、その真正性を争った。

そこで申入人は、当該文書が実際に株式会社インタラック関東南を代表して発行されたものであることを確認するため、株式会社インタラック関東南の正式な会社印を押印した文書の交付を求めた。

これに対し、令和6年4月10日、同一の電子メールアカウントから同一内容のPDFが再送信された。

しかしながら、再送信されたPDFは、文書の日付を令和6年4月9日のまま維持しながら、会社印とされる印影が追加されたものとなっていた。

すなわち、令和6年4月10日に新たな文書が発行されたのではなく、令和6年4月9日付文書のPDFデータ自体が修正されたうえで再送信されたものと理解される。

申入人は、当該印影は株式会社インタラック関東南が通常使用する正式な会社印とは一致せず、後日電子的に付加された印影であるとの疑義を有している。

このため、本件では次の二つの問題は相互に独立した争点となっている。

  1. 令和6年4月9日付文書に付された代表取締役名義の署名の真正性
  2. 令和6年4月10日に再送信されたPDFへ追加された会社印の真正性及びその帰属

その後、地位保全事件において、代表取締役は自己の押印を付した陳述書を提出し、令和6年4月の各業務命令書について、「会社」が発行した文書であり、自ら「会社の印」を押印した旨を陳述した。

しかしながら、当該陳述書においても、「会社」がいずれの法人を指すのかについては具体的な説明はなされなかった。

申入人は、この点が現在係属中の各事件において極めて重要な争点であると考え、令和8年(ラ)第1253号抗告事件の提起後、株式会社リンクアンドモチベーションに対し、内容証明郵便により書面照会を行った。

当該照会では、令和8年5月15日を回答期限として、特に次の事項について説明を求めた。

  • 株式会社インタラック関東南と「インタラック関東南カンパニー」との法的関係
  • lmi.ne.jpドメインを利用して発出された派遣関連文書の作成主体及び発出主体
  • 代表取締役が陳述書においていう「会社」がいずれの法人を意味するのか
  • 令和6年4月10日に再送信されたPDFに押印された「会社印」が、いずれの法人に帰属するものか

しかしながら、回答期限までにこれらの疑問を解消する回答は得られなかった。

その後、令和8年5月18日、株式会社リンクアンドモチベーションは、株式会社インタラック関東南が令和8年7月1日付で株式会社リンク・インタラックに吸収合併されることを公表した。

申入人は、この吸収合併の公表によって、令和4年12月以降に発出された派遣関連文書が、いずれの法人の責任において作成され、また通知者に対する派遣業務に係る指揮命令権限をいずれの主体が行使していたのかを明らかにする必要性は、従前にも増して重要になったものと考えている。